業務改善助成金で、賃上げ×DX投資を同時に実現。最大600万円で運送現場をアップデート
「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金を30円以上引き上げることを条件に、生産性向上につながる投資にかかった費用の一部が支給される国の制度です。運送業は2025年の最低賃金目安(A/Bランク+63円、Cランク+64円)により賃上げが既定路線。どうせ賃上げするなら“補助を最大化”してDXと同時にやるのが最も合理的です。助成上限はコース(30/45/60/90円)と引上げ人数で決まり、特例事業者(例:直近1か月の利益率が前年より3%ポイント以上悪化等)に該当すれば、90円×10人以上で上限600万円まで狙えます。さらに、事業場内最低賃金が1,000円未満の事業場は助成率が4/5に(1,000円以上は3/4)。交付決定前の発注は対象外、同一事業場は年度内1回などの重要ルールを守れば、現場の「紙・属人・電話」を一気に刷新できます。
※制度の正式要件・スケジュールは厚労省の最新要領に従います。編集画面で安全に動くようJSは含めていません。アニメはサイト全体のグローバルJSで有効化されます。
申請のながれを見る制度のしくみ:賃上げ(事業場内最低賃金)+生産性投資のセットで支給。コース×人数で上限額が決まる
申請単位は事業場ごと(工場や営業所など、労働者がいる拠点)。事業場内最低賃金の引上げ計画(30/45/60/90円いずれか)と、設備投資等の計画を組み合わせて申請します。ポイントは次の通りです。
- 助成上限額はコース&引上げ人数で変動(例:90円コース×7人以上=450万円、90円×10人以上=600万円※)。※10人以上枠は特例事業者に該当する場合のみ。
- 助成率は、事業場内最低賃金が1,000円未満:4/5、1,000円以上:3/4。
- 特例事業者とは、①申請事業場の事業場内最低賃金が1,000円未満、または②直近1か月の利益率が前年同月より3%ポイント以上低下する等に該当する事業者。②に該当すると、通常対象外のPC・スマホ・タブレットの新規導入や、一部の自動車(定員7人以上or本体200万円以下)まで対象が拡大。
- 必ず守る順序:交付決定→発注→納品/支払→実績報告。交付決定前の発注・支払は対象外です。
- スケジュール例(R7/2025):第1期は4/14~6/13申請・5/1~6/30賃上げ、第2期は6/14~申請&賃上げは地域別最低賃金改定日前日まで。事業完了期限は原則2026/1/31(R8)、やむを得ない場合は3/31まで延長可。
用語注:事業場内最低賃金=その事業場でいちばん低い時間給(雇入れ後6か月経過の労働者が対象)。%ポイント=2つの割合の差。例:10%→6%は「4%ポイント低下」。
対象となる経費の代表例(物流DXの文脈)
- 機器・設備:ハンディ端末・スキャナ、庫内Wi-Fi/アクセスポイント、タブレット(※特例要件でPC/スマホ/タブレットの新規導入が可)、電子棚札、ラベルプリンタ、WMS用ラック端末 等
- ソフト/システム:TMS(配車)・動態管理・WMS・電子請求/電帳法対応・ダッシュボード 等の導入費・設定費
- コンサル/教育:国家資格者/専門家による業務フロー見直し、マニュアル/教育訓練 等
- 特例での拡張:一定条件の自動車(定員7人以上、または本体200万円以下)、PC/スマホ/タブレットの新規導入
使い方の実例:“費目仕分け”でムダなく、配車・庫内・請求をつなげる
ケース1:AI配車+動態管理で「走行距離7%削減」を狙う(保守前提)
共同配送や時間指定が多い地域配送では、ルートの“当日手作業リライト”がボトルネック。TMS(AI配車)で荷物・車両・時間帯・資格制約を条件化すると、配車長は例外処理に集中でき、たたき台の自動生成で朝の3時間が10分に。加えて動態管理で遅延予兆をキャッチし、顧客連絡と差替えを先手で打つ。投資費は、端末やハンディ=業務改善、SaaS月額=東京都のデジタルツール助成、独自開発=ものづくり と重複なしで仕分けすれば、総負担を抑えながら回収を早められます。実運用では、まずCSV連携で立ち上げ、安定後にAPI化——この段階導入が現実的です。
- 燃料:1台200km/日×40台×26日、燃費4km/L、160円/L ⇒ 月燃料約832万円 → 7%削減で約58万円/月の改善
- 配車工数:2名×50%短縮で約41万円/月削減(2,000円/h, 8h×26日)
- 拘束時間が可視化され、働き方改革(36協定)の遵守も容易に
※効果は一例。台数・距離・単価で変動。審査では、根拠計算の「前提とデータ源」を明記しましょう。
ケース2:WMS+ハンディで誤出荷率を「0.5%→0.05%」へ
紙ピッキング・単票ラベル・二重記入……庫内業務の“転記”はミスの温床。ロケ統一と二段階スキャン(ピッキング/検品)を入れると、オペレーションの誰でも同じ手順化が進みます。ラベルとハンディの二重チェックで“最後の1%”のミスを詰め、返品費・再配送料・信用低下の負の連鎖を止める。ハンディ・ラベルプリンタは業務改善、WMSの初期設定も業務改善、SaaS月額は東京都助成の対象に分けるのが定石です。
- 月1万件出荷・誤出荷0.5%→0.05%、損失5,000円/件 ⇒ 約22.5万円/月の改善
- 在庫ズレ減少⇒営業・CSの一次回答が即日化=クレーム減
ケース3:電子請求+電帳法対応で「締め日短縮→キャッシュ回収加速」
Excel整形→印刷→押印→郵送……という流れを、配送完了データからの自動請求に変えます。送付と回収のステータスも可視化され、未収フォローの呼び水に。箱単価・距離・立替の多い運送業こそ、キャッシュコンバージョンサイクルを短くし、賃上げ原資を吸収しましょう。併せて電子取引の電子保存(電帳法)を仕組みで担保します。
- 400件/月×5分短縮=33.3h×2,000円/h ⇒ 約6.7万円/月の改善
- 印紙/郵送/保管費の削減は別途上乗せ効果
申請までのながれ:賃上げ設計→費目仕分け→相見積→電子申請の順で「詰める」
1無料診断(30~45分):台数・拠点・出荷件数・人員構成、現状の賃金テーブル(事業場内最低賃金)を把握。想定コース(30/45/60/90円)と引上げ人数を試算します。
2費目マップ作成:業務改善(端末/機器/導入/教育等)、東京都(SaaS・保守の一部)、ものづくり(新サービス開発)を**重複ゼロ**で設計。請求書発行時の分割方法まで先に決めておくと安全です。
3相見積(2~3社):比較可能な仕様書(スコープ、数量、期間、教育、SLA)を配布。同一仕様で並べるのが審査で効きます。
4賃上げの設計:発効日前日までに引上げること(地域別最低賃金改定に連動)。引上げ後の金額を就業規則に明記。複数回分割の引上げは不可。
5交付申請(事業場単位):様式一式・見積・計画書を揃え、労働局 雇用環境・均等部(室)に提出。第1期/第2期の期日・対象期間に注意。
6交付決定:ここから初めて発注可能。交付決定前の発注・支払はNGです。
対策:特例該当性の事前判定、賃上げカレンダー化、相見積の仕様統一、電子保存(電帳法)前提の命名規則で先回り。
採択後:段階導入→証憑づくり→実績報告→受給。KPIモニタで“定着”までやり切る
1) 実装(段階導入)
- 初期はCSV連携で安定稼働を優先。運用が固まったらAPI化で自動化を拡張。
- 教育は動画マニュアル+チェックテストで属人化を解消。「同じ地図+ナビ」思想で全員同じ手順に。
2) 証憑の整備
- 納品書・領収書・振込記録、設置写真/シリアル、賃金台帳(引上げ後額)、就業規則改定の控えを、事前配布した命名規則で保管。
- 特例でPC/車両を計上する場合は、要件該当の証跡(利益率3%ポイント低下 等)を準備。
3) 実績報告→受給
- 交付要領に沿って報告書一式を提出。審査→支給の順で入金。
4) 定着・効果検証
- 積載率・走行距離・誤出荷率・締め日などKPIをダッシュボード化。賃上げ原資の吸収を数字で示すと、次の投資・価格交渉の根拠になります。
料金・進め方:完全成果報酬+保証金30万円でリスク最小化
フィー体系
- 保証金(預かり金):30万円 … 申請準備・要件定義・仕様/見積整理・費目マップ作成・ドラフト作成の着手金。採択時に成功報酬へ充当します。
- 成功報酬:採択後にお支払い(割合・上限は案件規模で個別見積。目安:受給見込額の◯%・最低報酬◯◯万円)。
- 不採択時:成功報酬は頂きません。保証金は準備工数の対価として充当(再申請に回す選択可)。
提供範囲
- 無料診断/要件定義(現状→To-Be)/費目仕分け(業務改善・東京都・ものづくり)
- 相見積テンプレ・仕様書化・KPIロジック(燃料・工数・誤出荷・締め短縮)
- 申請書ドラフト(審査観点:課題→独自性→市場性→費用対効果→体制)
- 交付決定後の調達・進行管理・実績報告書式・証憑台帳・導入定着支援
スケジュール感(目安)
- 診断~要件定義:1~2週間/相見積:1~2週間/申請ドラフト:2~3週間/交付決定後の導入:1~3か月
- 重要:賃上げは地域別最低賃金“発効日前日まで”に完了させる工程を先置き。